コロナ感染防止にマスクは有効か フランスでは無意味から不可欠に変更

コラム
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保険省のマスクはいらない発言

コロナウイルスの暗雲がフランスを覆い始めたロックダウンが始まる前、フランス保険省は「マスクはコロナウイルス感染を防ぐには無意味。ウイルスを持っている人が他の人にうつさないためにするもの。」と発言していた。薬局でも2月末にはマスクや水なしアルコール・ハンドジェルなどは既に売り切れ、手に入らない状態だった。病院で働く医療関係者たちからは「(医療用)マスクが足りない、持っていたら差し出して欲しい!」という悲鳴ももう出ていた。

私の同僚に“保健省がマスクは無意味だと言ってたよ。”と発言があった次の日言われたけど、私は“一概にそうとも言えないよ。実際にマスクを日頃から当たり前のようにしている日本は中国の隣だけど感染者も少ないし。まあ、日本は清潔な国だからというのもあると思うけど。”と反論したのを覚えてる。

そしていきなりのロックダウンから3週間くらいたった頃、フランス保険省は「みんながマスクをすることを推奨する」と発言変更。ただし医療用マスクが不足しているのでマスクのように覆えるものか手作りマスクを、という前提で。

いまだに家庭用の手作りマスクで本当にコロナ感染を防げるのか?などの論争はある。それでも顔を触ることが避けられる、自分が感染者と知らずにくしゃみなどで他の人にうつすことを防げる可能性から考えても全く無意味というわけでもない、という見解に至ったよう。

もともと最初のマスクはいらない、という見解はどんどん売り切れていくマスクを医療従事者用に確保するためのものだったのではないか、という意見も出た。私も保健省がわざわざテレビでマスクについて言及しないといけないところを見るとそうだろうなと思った。

この発言変更にいい加減だ!などの批判も集まったが、前例のない今回の緊急事態時に変えざるを得ないの場合は柔軟性を持つことは大切だろう。みんなの安全を先に考え、体裁にこだわらずあえて公に責められる覚悟で現状に沿った発言に変えられたところは評価できるとも思った。

世界でマスク戦争?が勃発

そしてこのマスク不足に伴って世界中でマスクの取り合いが起こった。
中国でドイツやフランスに向けて生産されたマスクがアメリカの業者にもっと高値で買い取られ、アメリカに送られたという報道が出たりした。フランス人はもともとアメリカの至上資本主義的な考え方の側面を好まないフシがあるので、フランス人の友達の中にも“やっぱりアメリカはけしからん!”と憤慨している人もいた。が、フランスもスウェーデンのマスク差し押さえたよと言うとそんなこと聞いてない!知らない!という人も多かった…。こういうのが一般的なフランス人だと思う。

もとはと言えば3月。スウェーデン企業がマスクをフランス経由でイタリアなど他のヨーロッパ諸国へ輸出しようとしたところフランスで差し押さえにあってしまったということ。フランスでは非常事態の戦争時のようにコロナ対策に必須な医療機器、用具を押収できるという権利行使を発表したばかりだった。医療従事者のマスクが足りないので国家がマスクを管理することにして今は誰も、薬局ですらも売ることが許されていない。実際に裏ルートで販売しようとした逮捕者も出ている。

結局なかなか動かなかったフランスに対し、ヨーロッパ議会を通してスウェーデンがこの件を明るみに出した。フランス側はもともとマスクのヨーローッパ外への不正流出を防ぐためのストック管理を目的としているので、ヨーロッパ内への輸出はできる限り早く対応すると流通許可を出してこの件は解決したらしい。

フランス人がマスクをするなんて!

そして現在マスクはどこでも売り切れだけど、これが5月11日のロックダウンからタバコ屋と薬局で最高価格5ユーロで買えるように準備をしていると報道が出ている。私も近所の薬局で “5月11日になったら買えるの??”と聞いた所、“4月末現在ではまだ十分な数が本当に薬局などに届くかも不明。政府からのお達しも来ていないから何とも言えない”という返事だった。

だいたいフランスでは顔を隠してしまうマスクは防犯的理由でこれまでの通常概念では禁止とされていたし、マスクで病気を予防するという考え方がなかった・・・。
そのせいでこれまではマスクをしていると変な病気を持っている人、(マスクをしてまで人にうつしてはいけないアブナイ病気を持っている人)と思われるのが常だった。私も花粉症があまりにもひどい時に外でマスクをして出ると人々から振り返って見られたり、結構ジロジロと遠慮のない冷たい視線をいただいていた。まるで発見されたばかりの新種の動物として見られている気がしたものだった
そういう過去があるので、
ロックダウンが始まって2週間後くらいから外でちらほらとマスクをしている人を見かけるようになり、かなりびっくりした覚えがある。思い込みが激しく、石頭で人の言うことを聞く習慣のない(言い換えると、しっかりとした自己を持っていて、自分を信じる力が強く、人の意見には振り回されない)一般的なフランス人が今になってマスクをするなんて誰が予想できただろう…。フランス人がマスクをつけ始めるというのはそれだけ衝撃的なことだった。うちの義母まで“手作りマスク作った?まだ作ってないの?週末に作らなきゃ!”と言ってきた時にはシーン…だった。
(お義母さん、もう自分の仕事のテレワークに、息子の学校の先生役で授業をしたり、息子の世話、料理や買い物、掃除なんかの家事もいつもより時間がかかって、働きに行ってた時より大変なんだよう。週末も仕事しないと間に合わないし、作って送ってくれたら嬉しい!)と心の中で言っていた。土日も仕事をしていると言うと家庭内論争になるので言わないことにしている。私は去年夏に帰国してフランスへ戻る時、偶然にもありがたいことに空港で親友がマスクをプレゼントしてくれた。私は花粉症もあるからそれをしているが、やっぱりパパと息子用に作るべき…とは思うものの。体が3つくらいほしい。

ただ、マスクをつける習慣がないせいか、近所のママ友の1人は自分で作ったものを見せてくれたけど、“つける習慣がないからどうしても息苦しく、顔にあるから邪魔に感じて長くつけていられない” と言っていた。それに “子どもがマスクをしたままって無理だよね、それより先に手を洗ってくれれ〜野蛮人!” と私と同じことを言っていた。9歳でもこれなので小さい子はもっと大変だ。

さて、5月11日ロックダウン解除は叶うのか。それは本当に安全なのか。この日から薬局でマスクは買えるのか。まだまだ疑問が残ったままロックダウンは続いているが、死亡者なども減ってきて希望が見えてきている。今が頑張りどころだろう。

PS : それにしても日本でマスクを国民に配るという「アベノマスク」という言葉。
うまい!うますぎる!日本語ってスゴイ!と久々にズレた感動をしてしまいました。

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@YoukiParisstyle 
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